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住宅性能表示制度とは?住宅性能評価書の内容とメリット・デメリットを徹底解説

  • 2 日前
  • 読了時間: 12分

住宅を購入する際、耐震性や省エネルギー性能など、目に見えない品質をどう判断すればよいか迷う方は少なくありません。住宅性能表示制度は、住宅の性能を客観的に評価し、等級や数値で示すことで、消費者が安心して住宅を選べるようにする制度です。


本記事では、制度の仕組みから新築・既存住宅それぞれの評価方法、メリット・デメリット、費用まで詳しく解説します。


住宅性能表示制度の基礎知識

住宅性能表示制度の基礎知識

住宅性能表示制度は、住宅の品質を客観的に評価し、消費者に分かりやすく示すための国の制度です。制度の概要から具体的なメリット・デメリットまで、基本的な知識を理解しましょう。


制度の概要

住宅性能表示制度は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、住宅の性能を第三者機関が客観的に評価し、等級や数値で表示する制度です。


耐震性、省エネルギー性、劣化対策など10分野の性能が統一基準で評価されるため、住宅の品質を比較しやすくなります。評価は任意ですが、取得することで住宅ローン控除や地震保険の優遇など、さまざまなメリットが得られます。


制度のメリット



住宅性能評価書の内容で契約

住宅性能評価書に記載された性能は、売買契約や請負契約の内容として扱われます。


そのため、評価書に示された性能が実際の住宅で実現されていない場合、契約違反として損害賠償請求や契約解除を求めることができます。これにより、建築後に期待した性能が得られないというトラブルを防げます。


紛争処理制度がある

住宅性能評価書が交付された住宅でトラブルが発生した場合、指定住宅紛争処理機関による紛争処理制度を利用できます。


弁護士や建築士などの専門家が公正な立場で調停を行い、裁判よりも低コスト(申請手数料1万円程度)かつ迅速に問題を解決できます。この制度があることで、購入後の安心感が大きく高まります。


性能を比較できる

住宅性能評価書では、耐震等級や断熱等性能等級など、性能が等級や数値で示されます。統一された基準で評価されるため、複数の物件を客観的に比較できます。施工会社の説明だけでは分かりにくい性能の違いが明確になり、納得感のある物件選びが可能になります。


住宅ローンや地震保険で優遇

住宅性能評価書を取得していると、フラット35Sなどの住宅ローンで金利優遇を受けられる場合があります。


また、耐震等級に応じて地震保険料が最大50%割引されるため、長期的には大きな節約効果があります。住宅ローン控除でも、性能に応じた借入限度額の引き上げが適用され、税制面でも有利になります。


住宅性能表示制度のデメリット


等級をあげると建築コストがあがる

高い等級を目指すと、それに応じた設計や材料が必要になり、建築コストが上昇します。


たとえば、耐震等級3を実現するには壁量を増やす必要があり、等級1と比べて数十万円から100万円程度のコスト増となる場合があります。評価取得の手数料も別途必要です。


住宅性能表示項目の間で両立できない場合がある

性能項目の中には、互いにトレードオフの関係にあるものがあります。たとえば、耐震性を高めるために壁を増やすと、光・視環境(開口部の面積)の等級が下がる可能性があります。


また、高い断熱性能を求めると、窓の大きさや配置が制限される場合もあります。すべての項目で最高等級を取得することは現実的ではなく、優先順位をつける必要があります。


「品確法」から生まれた背景

住宅性能表示制度は、1990年代に社会問題化した住宅の品質トラブルを背景に誕生しました。消費者が住宅の品質を適切に判断できるよう、2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行され、この法律に基づいて制度が開始されました。


以来、住宅の品質向上と消費者保護の観点から、重要な役割を果たしています。


評価書と制度の関係

住宅性能表示制度において、実際に性能を証明する書類が住宅性能評価書です。登録住宅性能評価機関が評価を行い、基準を満たした住宅に評価書を交付します。


評価書には設計段階の「設計住宅性能評価書」と、完成後の「建設住宅性能評価書」の2種類があり、両方を取得することで、設計から施工まで一貫して性能が保証されます。



新築住宅の性能評価

新築住宅の性能評価

新築住宅の性能評価では、10分野32項目で住宅の性能が詳細に評価されます。設計段階と建設段階の2つの評価があり、それぞれ異なる役割を持ちます。


評価される10分野32項目

新築住宅の性能評価では、構造の安定、火災時の安全、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境、エネルギー消費量、空気環境、光・視環境、音環境、高齢者等への配慮の10分野で評価されます。


各分野には複数の評価項目があり、合計32項目について等級や数値で性能が示されます。必須項目と選択項目があり、申請者が必要な項目を選んで評価を受けることができます。


設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書

設計住宅性能評価書は、着工前の設計図面をもとに計画段階の性能を評価した書類で、建設住宅性能評価書は、工事期間中の現場検査を経て、完成した建物の性能を証明する書類です。


設計評価だけでは図面上の計画にとどまりますが、建設評価まで取得することで、実際に設計どおりに施工されたことが保証されます。両方を取得することで、最も高い信頼性が得られます。



既存住宅(中古住宅)の性能評価



既存住宅性能評価書とは?新築との違い

既存住宅性能評価書は、中古住宅の性能を評価した書類で、新築時に評価を受けていない住宅でも、現状の性能を証明できます。


新築の評価が設計図面と現場検査で行われるのに対し、既存住宅では現地調査と書類確認で評価されます。経年劣化を考慮した評価基準が適用され、現時点での性能レベルが示されます。


現況検査・個別性能評価とオプション項目

既存住宅性能評価では、現況検査と個別性能評価の2つの方法があります。現況検査は、劣化状況を目視や計測で確認し、現在の状態を評価します。


個別性能評価は、特定の性能項目(耐震性、省エネルギー性など)について詳細に評価するもので、必要に応じて選択できます。オプション項目として、より詳細な調査や性能確認を追加することも可能です。


既存住宅性能評価の9分野

既存住宅の性能評価は、新築の10分野から「エネルギー消費量」を除いた9分野で行われます。


具体的には、構造の安定、火災時の安全、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境、空気環境、光・視環境、音環境、高齢者等への配慮です。


エネルギー消費量は設備機器の性能に依存するため、経年変化が大きく、既存住宅では評価が困難とされています。



既存住宅性能評価書を取得するメリット

既存住宅性能評価書を取得すると、中古住宅でも性能を客観的に証明でき、購入時や売却時にさまざまなメリットがあります。具体的な利点を見ていきましょう。


住宅の性能を客観的に証明できる

中古住宅は築年数や使用状況によって性能が異なりますが、既存住宅性能評価書があれば、第三者機関による客観的な評価として性能を証明できます。


売主の説明だけでなく、公的な書類で裏付けられることで、買主は安心して購入を検討できます。特に耐震性や劣化状況など、目に見えない部分の性能が明確になる点が大きなメリットです。


住宅ロー控除の優遇が受けやすい

中古住宅を購入する際、既存住宅性能評価書があれば、耐震基準適合を証明する書類として利用できます。


特に築年数が古い住宅では、耐震基準適合証明書の代わりに既存住宅性能評価書で耐震等級1以上を証明することで、住宅ローン控除を受けられる場合があります。また、一定の性能基準を満たしていれば、借入限度額の引き上げが適用され、より多くの控除を受けられる可能性があります。


地震保険料の割引が適用される

既存住宅性能評価書に耐震等級が記載されている場合、地震保険料の割引を受けられます。耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%の割引が適用されます。


中古住宅でも耐震改修を行った後に評価を受ければ、高い等級を取得でき、保険料を大幅に削減できる可能性があります。


売買時のトラブル防止と紛争処理制度

既存住宅性能評価書が交付された住宅は、新築と同様に指定住宅紛争処理機関による紛争処理制度を利用できます。


売買後にトラブルが発生した場合でも、専門家による公正な調停を受けられるため、買主・売主双方にとって安心です。評価書に記載された性能が契約内容となるため、性能面でのトラブルを未然に防ぐ効果もあります。


資産価値の維持と将来の売却に有利

既存住宅性能評価書があると、性能が証明されている住宅として中古市場での評価が高まります。購入検討者にとって性能が明確な住宅は安心材料となり、売却価格や成約スピードにプラスの影響を与える可能性があります。資産価値の維持という観点からも有効です。



性能評価の流れと費用

性能評価の流れと費用

住宅性能評価の取得には、一定の手順と費用が必要です。新築と既存住宅では流れが異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。


新築の場合の流れ

新築住宅の性能評価は、まず設計段階で登録住宅性能評価機関に設計図書を提出し、設計住宅性能評価を申請します。審査に合格すると設計住宅性能評価書が交付されます。その後、工事期間中に建設住宅性能評価を申請し、複数回の現場検査を受けます。すべての検査に合格すると、竣工時に建設住宅性能評価書が交付されます。


既存住宅の場合の流れ

既存住宅の性能評価は、登録住宅性能評価機関に申請し、評価員による現地調査を受けます。調査では、劣化状況の確認、構造の確認、図面や書類のチェックなどが行われます。


調査結果をもとに評価が行われ、基準を満たしていれば既存住宅性能評価書が交付されます。申請から手元に届くまでは、おおよそ数週間から1ヶ月程度を見込んでおくと安心です。


売却する家に住宅性能評価。売主は何をすればいい?

売却予定の住宅で既存住宅性能評価を取得する場合、売主は評価機関への申請手続きと、現地調査の立ち会いを行います。


建築時の図面や確認済証、検査済証などの書類があれば、評価がスムーズに進みます。新築時の評価書がある場合も、有力な資料として忘れずに提示しましょう。売却前に評価書を取得しておくことで、買主への訴求力が高まります。


申請は誰が行うのか?

新築住宅の場合、施工会社やハウスメーカーが申請を代行することが一般的です。既存住宅の場合は、売主または買主が直接申請するか、不動産会社や専門業者に依頼します。


申請者は住宅の所有者または所有者の同意を得た者である必要があります。評価機関によっては、申請代行サービスを専門に提供している評価機関も見受けられます。


評価書交付の割合は増えている

住宅性能評価書の交付戸数は年々増加しており、新築住宅では着工戸数の約3割が設計住宅性能評価を取得しています。


消費者の品質意識の高まりや、住宅ローン控除などの経済的メリットが認知されたことで、取得が進んでいます。中古市場の活性化に伴い、今後は既存住宅でのニーズもさらに高まっていくでしょう。


取得にかかる費用

新築住宅の場合、設計住宅性能評価と建設住宅性能評価を合わせて15万円~25万円程度が一般的です。評価項目の数や住宅の規模によって金額は変動します。


費用は評価機関によって異なるため、複数の機関から見積もりを取ることをおすすめします。ハウスメーカーによっては、評価取得費用を標準仕様に含めている場合もあります。


費用はかかりますが、住宅ローン控除や地震保険の割引、将来の売却価格への影響を考えると、十分に元が取れる可能性があります。



住宅性能評価書に関するよくある疑問とは?

住宅性能評価書に関するよくある疑問とは?

住宅性能評価書について、よくある疑問や質問をまとめました。制度を正しく理解し、有効に活用するための参考にしてください。


すまい給付金と既存住宅性能評価書

すまい給付金(2021年12月に終了)の申請では、中古住宅の場合に既存住宅性能評価書が証明書類の一つとして認められていました。現況検査により耐震性などの一定の基準を満たしていることが確認された住宅が対象でした。


制度は終了していますが、今後同様の給付金制度が導入された場合、既存住宅性能評価書が有効な証明書類となる可能性があります。住宅購入支援策は時期によって変わるため、最新情報を確認することが重要です。


住宅ローンとの関係

住宅性能評価書があると、住宅ローンの審査で有利になる場合があります。フラット35を利用する際、設計住宅性能評価書があれば物件検査の一部が省略され、手続きの手間を大幅に減らせるでしょう。


また、フラット35Sの金利優遇を受けるには、一定の性能基準を満たす必要があり、住宅性能評価書がその証明書類として利用できます。中古住宅でも、既存住宅性能評価書があることで、金融機関からの評価が高まり、融資を受けやすくなる効果が期待できます。


住宅性能評価書の取得は義務なの?

住宅性能評価書の取得は任意であり、義務ではありません。建築基準法に適合していれば、評価書がなくても住宅を建築・販売できます。


ただし、住宅ローン控除の優遇や地震保険の割引など、さまざまなメリットがあるため、取得を検討する価値は十分にあります。長期優良住宅の認定を受ける場合は、実質的に住宅性能評価書が必要になります。


住宅性能評価書っていつもらえるの?

設計住宅性能評価書は、設計図書の審査に合格した時点で交付され、通常は着工前に受け取ります。建設住宅性能評価書は、すべての現場検査に合格し、住宅が竣工した時点で交付されるため、引き渡しの直前または引き渡し時に受け取ることが一般的です。


既存住宅性能評価書は、現地調査と審査が完了した後、通常2~4週間程度で交付されます。


住宅性能評価書って後からでも取得できるの?

新築時に設計・建設住宅性能評価を取得していなくても、既存住宅性能評価制度を利用すれば、後から評価書を取得できます。


ただし、既存住宅としての評価基準が適用されるため、新築時の評価とは内容が異なります。建設住宅性能評価は設計住宅性能評価を取得していることが前提なので、竣工後に建設評価だけを取得することはできません。


建設住宅性能評価書とBELS評価書との違いは?

建設住宅性能評価書は、10分野(既存住宅は9分野)の性能を総合的に評価する包括的な書類です。一方、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)評価書は、省エネルギー性能に特化した評価で、建物のエネルギー消費性能を星の数(1~5つ星)で表示します。


BELS評価書は省エネ性能の証明として利用できますが、耐震性や劣化対策などは評価されません。目的に応じて使い分ける必要があります。



まとめ

住宅性能表示制度は、住宅の品質を客観的に評価し、消費者が安心して住宅を選べるようにする重要な仕組みです。新築だけでなく既存住宅でも評価を受けられ、住宅ローン控除や地震保険の割引など具体的なメリットがあります。


費用はかかりますが、長期的な安心と経済的メリットを考えれば、取得を検討する価値は十分にあります。制度を正しく理解し、賢い住まい選びに役立てましょう。

 
 
 

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