住宅性能評価書で耐震等級を証明するには?取得方法とメリットを徹底解説
- 2 日前
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耐震等級は地震に強い家づくりの重要な指標ですが、その性能を公的に証明するには住宅性能評価書の取得が必要です。評価書があれば地震保険の割引や住宅ローン優遇を受けられるほか、将来の資産価値にも影響します。
本記事では、住宅性能評価書と耐震等級の関係、取得方法、メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。
住宅性能評価書と耐震等級の関係

耐震等級を理解するには、まず住宅性能評価制度の仕組みと、耐震等級がどのように定められているかを知る必要があります。
耐震等級とは?3段階の基準を理解する
耐震等級は地震への強さを表す指標で、1から3までの3段階で評価されます。等級1は建築基準法レベルの強度ですが、震度6強から7の地震では倒壊は免れても、大きな修繕が必要になる恐れも否定できません。
その点、学校や病院と同等の等級2(1.25倍)や、最高ランクの等級3(1.5倍)であれば、被災後も住み続けられる可能性がぐっと高まります。特に等級3は「長期優良住宅」の必須条件にもなっており、近年の住まいづくりでは欠かせない基準です。
ただし、耐震等級が高いほど構造計算が複雑になり、壁の量を増やすなどの対策が必要になるため、建築コストも上昇する傾向があります。自分の住む地域の地震リスクや予算とのバランスを考慮して、適切な等級を選ぶことが重要です。
住宅性能評価書による耐震等級の証明
耐震等級を公的に証明する手段として最も一般的なのが、住宅性能評価書です。住宅性能評価は国が定めた統一基準に基づき、登録住宅性能評価機関が第三者の立場から建物の性能を評価する制度です。
評価書には耐震等級が明記され、その根拠となる構造計算書や設計図面が審査されているため、信頼性の高い証明書類として扱われます。
住宅性能評価書以外にも、長期優良住宅の認定や耐震基準適合証明書でも耐震性能を証明できますが、これらは用途や基準が異なります。住宅性能評価書は、耐震性だけでなく断熱性や劣化対策など総合的な性能を評価できる点が特徴です。
また、設計段階と建設段階の両方で評価を受けることで、図面どおりに施工されたことまで証明できるため、最も包括的な証明手段といえます。
住宅性能評価書で耐震等級を取得する方法

住宅性能評価書で耐震等級を取得するには、設計段階と建設段階の2つのステップがあります。手順を理解して、スムーズに取得を進めましょう。
設計住宅性能評価の申請手順
耐震等級を含む評価書を取得するには、まず着工前に「設計住宅性能評価」を申請しなければなりません。手続きは施工会社やハウスメーカーが代行するのが一般的で、設計図や仕様書に加え、詳細な構造計算書を登録住宅性能評価機関へ提出します。
特に等級2以上を狙うなら、構造設計の専門家による緻密な計算が不可欠です。この「書類上の健康診断」が最初の大きな山場といえるでしょう。
審査では、建物の壁量バランスや接合部の強度、使用する構造材が基準を満たしているかどうかを厳格にチェックされます。最高ランクの等級3ともなれば審査はより厳しくなり、家を支える壁の量が十分に確保されているかが最大の注目ポイントになります。
合格して「設計住宅性能評価書」が交付されれば、ようやく設計上の耐震性能が公に証明されたことになります。この段階で等級が確定するため、着工前に目標とする等級を明確にし、それに対応した設計を行うことが重要です。
建設住宅性能評価で最終確認を受ける
設計住宅性能評価を取得した後、建設段階で建設住宅性能評価を申請します。この評価では、評価機関の検査員が工事現場を複数回訪れ、設計どおりに施工されているかを確認します。
耐震性能に関わる基礎配筋、構造躯体、接合部などが重点的にチェックされ、設計図書と実際の施工内容に相違がないかが確認されます。
すべての検査に合格すると、竣工時に建設住宅性能評価書が交付されます。この評価書により、設計段階で定められた耐震等級が実際の建物でも実現されていることが証明されます。
設計評価だけでは図面上の性能にとどまりますが、建設評価まで取得することで、完成した建物の耐震等級が公的に保証されます。
取得にかかる費用と期間の目安
住宅性能評価書の取得費用は、設計住宅性能評価と建設住宅性能評価を合わせて15万円から35万円程度が一般的です。
評価項目の数や住宅の規模によって金額は変動しますが、耐震等級を含む基本的な評価項目であれば、この範囲内で収まることが多いです。ハウスメーカーによっては、評価取得費用を標準仕様に含めている場合もあります。
取得にかかる期間は、設計住宅性能評価で申請から数週間程度、建設住宅性能評価は着工から竣工までの工事期間全体にわたります。
建設評価では工程ごとに複数回の現場検査が実施されるため、施工スケジュールと連動した計画が必要です。住宅ローンの本審査や引き渡し時期に評価書が必要な場合は、余裕をもったスケジュール調整が欠かせません。
耐震等級付き性能評価書のメリット

住宅性能評価書で耐震等級を証明することには、経済的なメリットと安心感の両面で大きな利点があります。
地震保険料が最大50%割引になる
住宅性能評価書に記載された耐震等級に応じて、地震保険料の割引を受けられます。耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%の割引が適用されるため、長期的には大きな節約効果があります。
地震保険は火災保険とセットで加入するのが一般的ですが、割引率が高いほど累積での節約額は大きくなります。また、地震保険の割引を受けるには、保険加入時に住宅性能評価書の写しを保険会社に提出する必要があります。
地震リスクの高い地域に住む場合は、耐震等級を高めて評価書を取得することで、安全性と経済性の両面でメリットが得られます。
住宅ローン金利の優遇を受けられる
耐震等級2以上の住宅性能評価書を取得していると、フラット35Sなどの住宅ローンで金利優遇を受けられます。当初一定期間(5年間または10年間)の金利が引き下げられ、総返済額を大幅に削減できます。
また、民間の金融機関でも、耐震等級が高い住宅に対して独自の金利優遇を設けている場合があります。
住宅ローンを利用する際は、評価書による金利優遇の条件を事前に確認し、トータルでの費用対効果を検討することが重要です。評価取得費用を上回る経済的メリットが得られる可能性が高いため、積極的に活用しましょう。
資産価値の証明と安心感が得られる
住宅性能評価書で耐震等級が証明されていれば、将来の売却において物件の信頼性は大きく高まります。
特に、耐震等級3は大地震後も住み続けられる性能として中古市場でも高く評価され、買主への訴求力が向上します。地震への不安が募る昨今、耐震性能を最優先する買い手にとって、これほど魅力的な訴求ポイントは他にありません。
また、第三者機関による客観的なお墨付きは、日々の暮らしに大きな安心感をもたらします。設計から施工までプロの厳しい目が光ることで、目に見えない施工品質までしっかり担保される仕組みです。
大地震が発生した際にも、高い耐震等級を持つ住宅であれば、倒壊リスクが低く、家族の安全を守ることができます。長期的な資産価値の維持と安心感の両面で、評価書のメリットは大きいといえます。
取得時の注意点とよくある疑問

住宅性能評価書と耐震等級に関して、よくある疑問や混同しやすいポイントを整理しておきましょう。
長期優良住宅認定との違いは?
長期優良住宅の認定を受けるには、耐震等級2以上(地域により等級3)が必須となっており、住宅性能評価書とセットで取得するのが一般的です。
ただし、長期優良住宅は耐震性だけでなく、劣化対策やメンテナンスのしやすさ、省エネ性など多岐にわたる基準をクリアしなければなりません。具体的には、劣化対策や維持管理で最高等級、断熱性能でも高い水準が求められるなど、住まい全体の総合力が試されます。
一方で、住宅性能評価書は「耐震等級のみ」といった柔軟な取得ができる点も特徴です。もし長期優良住宅を目指すのであれば、評価書の取得プロセスと重なる部分が多いため、同時に手続きを進めるのが賢い選択でしょう。
認定を受ければ住宅ローン控除の借入限度額が上乗せされるなど、税制面でのメリットもさらに手厚くなります。
建築確認だけでは耐震等級は証明されない
建築確認は建築基準法に基づく法定検査で、すべての建物に必須ですが、これだけでは耐震等級は証明されません。
建築確認で確認されるのは耐震等級1相当の最低限の基準であり、等級2や等級3の性能を証明するには、住宅性能評価書や耐震基準適合証明書などの別の書類が必要です。
建築確認済証があるだけでは、地震保険の割引や住宅ローン優遇を受けられない点に注意しましょう。耐震等級を公的に証明したい場合は、必ず住宅性能評価書の取得が必要です。
既存住宅でも後から取得できるか
既存住宅(中古住宅)でも、既存住宅性能評価制度を利用すれば、耐震等級を含む住宅性能評価書を取得できます。ただし、現状の建物が一定の性能基準を満たしている必要があり、劣化状況によっては取得が難しい場合もあります。
耐震改修を行ってから評価を受けることも可能で、改修後の性能を証明する手段として活用できます。中古住宅を購入する際や、自宅の耐震性を確認したい場合は、既存住宅性能評価の取得を検討してみましょう。
まとめ
住宅性能評価書は耐震等級を公的に証明する唯一の手段であり、地震保険割引や住宅ローン優遇など具体的なメリットがあります。
特に耐震等級3を目指す場合、評価書の取得で性能が保証され、長期的な安心と経済的メリットを得られます。費用はかかりますが、地震リスクへの備えと資産価値維持の観点から、取得を検討する価値は十分にあります。

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