zebとは、省エネ性能を備えた上で創エネを行い、年間の一次エネルギー消費量プラスマイナス0を目指す建築物(ビル)のことです。エネルギー供給の変化や地球温暖化などが危惧される中、環境に配慮された建築物の普及が期待されています。
zebは光熱費の削減が期待できるだけでなく、認証を受けることで不動産価値・企業ブランドイメージの向上などのメリットを得られます。zebの定義やメリット、補助金について理解し、持続可能な社会の実現を目指しましょう。
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zebとは?〜わかりやすく解説します〜
zeb(ゼブ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略称です。高い断熱性や日射遮蔽を備えた上で、太陽光発電などの活用により年間一次エネルギー消費量の実質プラスマイナス0を目指すビル建築物のことを指します。
zebの普及促進が期待される背景には、「建築物省エネ法」の改正があります。建築物省エネ法は建築物の省エネ促進を目的とした法令で、一定規定以上の建築物を建設する際には省エネ適判や届出、説明義務が定められています。
また2021年4月1日には改正も行われ、「2,000m2以上の大規模建築物」に加え「300㎡以上の中規模建築物」にも省エネ適判が義務化されました。このように、国会では地球温暖化対策のための脱炭素社会の実現に注目が集まっているのです。
しかし年間に消費する一次エネルギー量は、小規模・中規模の建築物よりも大規模建築物のほうが膨大です。そのため、延べ面積10,000㎡以上の建築物を対象に、zeb化の促進が期待されています。
建築物省エネ法やzebの評価はBEIを用います。BEIの結果によって、zebの判定を行うのです。
※BEI:基準建築物と比較したときの、設計建築物が消費する一次エネルギー量の比率のこと。エネルギー消費性能計算プログラムに基づく。
zeb認証とは
zeb認証とは、BEIを用いて評価しzebと認められることです。zeb実現のためには、BELS評価にて「BEI:0.5以下」であることを証明してもらう必要があります。zeb認証を得ることで、不動産価値の向上や企業のイメージアップにつながるのです。
※:BELS:(一社)住宅性能評価・表示協会のガイドラインに基づき、第三者機関が非住
宅建築物の省エネ性の評価および表示を適確に実施することを目的とした性能表示制度
zeb/zehの違い
zebと似ている言葉に「zeh」があります。どちらも「建築物における一次エネルギー消費量のプラスマイナス0を目指す建築物」という定義は同じです。
一方、zebとzebには「ビルか否か」という違いがあります。zebの正式名称は「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」、zehは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」です。zeh基準を満たした住宅がzeh、非住宅の建築物(ビル)がzebと区別されています。
zebの定義と評価基準
zebは普及促進の実現のため、4段階で定義されています。BELS申請を行いzeb等に該当すると、BELS評価書においてzebの段階表示が可能となります。
※ZEB Orientedは、延べ面積10,000m2以上の建築物であることと未評価技術の導入。
zeb認証を取得するメリット
zeb認証の取得には、光熱費の削減だけでなく不動産価値・企業ブランドイメージの向上といったメリットがあります。環境に配慮された建築物という認証は、社会全体の魅力向上につながるのです。
光熱費の削減
zebのメリットは、光熱費の削減が期待できる点です。zebは高い外皮熱性能を有する建築物のため、外気の出入りを防ぎ、1年を通して室内の温度を一定に保ちます。
その結果、冷暖房器具の使用頻度などが下がり、光熱費が安くなるのです。一般社団法人 環境共創イニシアチブは、ZEB Readyの建築物が得られる光熱費削減の試算を公表しています。
延床面積3,000m2程度のスーパーマーケットで50%省エネルギーを実現した場合、年間で40〜50%の光熱費を削減することも可能です。 参考:http://www.env.go.jp/earth/info/greenbuilding/tool/pdf/zero_energy_a4.pdf
ZEBやNearly ZEBの建築物を設計・建築すれば、より高い光熱費の削減が実現するでしょう。
不動産価値の向上
zeb認定を取得するメリットには、不動産価値の向上もあります。近年、地球温暖化問題の注目が高まるとともに、環境に配慮した建築物を求めるテナントや投資家が増えているためです。
また、東京23区内に所在するオフィスにおいて「環境認証を取得しているビル」は「新規成約賃料」に+の影響を与えるとの調査結果も発表されています。
※新規成約賃料:新たな入居者と契約した実際の賃料
つまりzebであることが、一般の建築物よりも高い賃料での貸し出し実現につながるのです。
企業ブランドイメージの向上
zebに認定されると、BELS評価書において表示が可能となります。さらに地球や地域環境に配慮した企業として、企業ブランドイメージの向上にもつながります。環境配慮型の企業としてのPRも可能となるのです。
zebに関するコストのこと〜オリエンテッド・レディにするだけでもOK?〜
zeb認証を受けるためには、設計段階からさまざまな配慮が必要です。zebは創エネ設備などの設置が必須なため、「ZEB ready」を達成するだけでも通常の建築物に比べて費用がかかります。
「ZEBロードマップフォローアップ委員会」ではzeb readyのコストに関する調査を実施しており、省エネ基準相当の建築物と比較して、以下の試算を公表しています。
オフィスビル:約10%増
スーパーマーケット:約18%増
老人ホーム・福祉ホーム:約9%増
ZEB readyから検討してもOK
国が目指しているzeb化の普及ですが、まずは「ZEB ready」から検討するのがおすすめです。「環境に配慮した建築物」という対外的なPRは、ZEB readyであっても十分できます。
前述したとおり、ZEB readyの建設は約9〜18%のコストアップが試算されています。ただし、建設時の補助金や運用開始後の光熱費削減によって、実質コストの削減が可能です。
もちろん、ZEB readyは既存建築物でも目指せます。省エネ性の高い空調機器や照明機器を導入することで、建築断熱なしでZEB readyを達成できる可能性もあるのです。
zebが受けられる補助金
zebが受けられる補助金には、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」があります(2022年5月時点)。zeb認証を受けた建築主やESCO(シェアード・セービングス)事業者、リース事業者などを対象として、zebプランナーが関わる建設のみ補助金申請が可能です。
補助金制度の対象
延べ面積10,000m2以上の新築
延べ面積2,000㎡以上の既存住宅
事務所・ホテル・集会所などの非住宅
※2022年5月16日の公募内容を参照(https://sii.or.jp/zeb04/)
zebプランナーとは
zebプランナーとは、zebの建設や導入を検討している建築主(オーナー)に対して「zeb実現に向けたプランニング」を実施している事業者のことです。一般社団法人 環境共創イニシアチブが公表している「ZEB設計ガイドライン」などを活用し、zeb実現の業務支援を行っています。
zebに関する補助金を受ける際には、zebプランナーの関与が必須です。zebプランナーには「ZEBプランナー・マーク」の使用が許可されており、環境共創イニシアチブ公式では事業者の一覧が公表されています。
JNSのzeb業務フロー
JNSはBELSに対応しており、zebの基準値クリアに向けたコンサルティングや手続きのサポートをしています。JNSのzeb業務フローを紹介しますので、気になる点はお気軽にご相談ください。
お客さまには、お問い合わせ後に見取図面をご用意いただきます。提出書類に関する疑問点は、お気軽にご質問ください。
JNSよりお見積りと計算条件の確認(納期や目標値など)をご提示いたします。
正式なご契約後、計算に必要な図面や資料を提出いただきます。
JNSで、省エネ計算・根拠資料を作成します。必要に応じて、質疑への回答をお願いしております。
結果報告と計算書の納品をいたします。計算書を申請書に添付し、判定機関へご提出ください。判定機関からの質疑応答も代行いたします。
追加説明などが完了し、措置対応の結果が出れば完了です。こちらで決済の手続きを進めさせていただきます。
JNSでは、BELS・zebのほか省エネ適判や届出などのサポートを一貫して行っております。ご相談だけでもよいので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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