BELS認証のメリットとは?補助金制度との関係と活用方法を解説
- soccer31415mt926
- 10月22日
- 読了時間: 8分
建物の省エネ性能を「見える化」する制度として注目されるBELS(ベルス)。その取得には一定の費用がかかるものの、補助金の活用や不動産価値の向上など、多くのメリットがあります。
本記事では、BELS認証の主な利点や補助金制度との関係について、住宅・非住宅両方の視点から詳しく解説します。
BELS認証の主なメリット

第三者機関による客観的な評価により、建物の省エネ性能を証明するBELS認証。その取得により得られる具体的なメリットを確認しましょう。
省エネ性能の可視化による信頼性向上
BELS認証では、建物の省エネ性能が星の数(1つ星〜5つ星)で表示されるため、専門知識がない方でも評価結果を一目で理解できます。ハウスメーカーや工務店の自己評価と異なり、第三者機関による客観的な評価のため信頼性が高いのが特徴です。
BELSプレートには、BEI値に応じた星マーク、削減率、省エネ基準への適合状況など詳細な性能情報が記載され、赤から緑へのグラデーション表示で視覚的に性能レベルを確認できます。この分かりやすい表示により、顧客への説明が簡単になり、具体的な性能アピールが可能になります。
不動産価値の向上
BELS認証を取得した建物は、省エネ性能が客観的に証明されることで不動産価値の向上が期待できます。
省エネ性能に優れた建物は光熱費を節約でき、所有者や入居者にとってメリットが大きくなります。住宅の場合、省エネ性能が高いと光熱費の削減につながり、BELSの評価が高いほどランニングコストの削減効果を見込めます。
売却時においても、BELS認証により省エネ性能を客観的に証明できることで資産価値が高く評価され、適正な価格設定が可能になります。
ESG・環境配慮型社会への対応
近年、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが重視される中、BELS認証は環境配慮型建物であることを示す重要な指標となっています。不動産投資の環境配慮を測る「GRESB」ツールでも、BELS取得が加点評価項目となっています。
2050年カーボンニュートラルを目指す日本において、BELS認証は社会的要請に応える建物であることを対外的にアピールする有効な手段となるでしょう。
BELS取得による補助金活用の可能性

BELS認証は様々な補助金制度と密接に関係しており、適切に活用することで建築費用の負担軽減が可能です。
BELSが要件となる補助金制度
最も代表的なのが、ZEH(ゼロエネルギーハウス)支援事業の補助金制度です。申請住宅は建築物省エネ法第7条に基づく省エネ性能表示(BELS等、第三者認証)を中間報告前に取得し、その写しを提出することが交付要件となっています。
この補助金を利用するにはZEHビルダーまたはZEHプランナーとの契約が必要ですが、BELS評価書は必須書類として活用できます。ZEH関連の補助金は条件により55万円から140万円程度の支給が可能です。
また、「子育てグリーン住宅支援事業」でも、ZEH水準住宅に対する補助金制度が設けられており、BELS評価書による性能証明が重要な役割を果たしています。
地方自治体ごとの助成制度
国の補助金制度に加え、各地方自治体独自の助成制度でもBELS認証が活用される場合があります。福岡市の「脱炭素建築物誘導支援事業」では、ZEBまたはZEH-M設計を示すBELS評価書取得が補助金条件となっています。
自治体によっては省エネ住宅向けの独自補助金制度があり、BELS認証により高い省エネ性能を証明できれば活用可能性が高まります。2024年4月からの省エネ性能表示義務化により、第三者評価であるBELSの重要性はさらに高まっています。
補助金申請における注意点
補助金申請時には、いくつかの重要な注意点があります。まず、BELS評価書の取得タイミングが重要で、多くの補助金制度では事前にBELS評価書を取得することが条件となっています。福岡市の制度のように、BELS評価書を取得した後の申請はできない場合もあるため、申請スケジュールの確認が欠かせません。
また、ZEH関連の補助金を利用する場合は、ZEHビルダーまたはZEHプランナーの登録事業者と契約する必要があります。登録事業者以外のハウスメーカーや工務店で契約した場合、補助金は受け取れないため、事業者選定時に確認が必要です。
BELS評価書に記載される「ZEH Oriented」「ZEH Ready」「Nearly ZEH」なども補助金の対象となる場合がありますが、「ゼロエネ相当」は強化外皮基準に適合しないため対象外となることもあるため、詳細な要件確認が重要です。
住宅と非住宅における活用シーン
BELS認証は住宅・非住宅を問わず様々な建物で活用でき、それぞれ異なる目的での活用が可能です。
住宅(新築・既存)の場合
新築住宅では、ZEH補助金申請時の必須書類として活用が最も一般的です。星3つ以上のBELS評価があれば、ZEH支援事業の補助金申請書類として使用できます。
2024年1月から適用される住宅ローン控除では、省エネ基準を満たさない住宅は控除対象外となったため、BELS認証による性能証明がより重要になっています。
既存住宅でも、BELS認証により省エネ性能を客観的に証明することで、売却時の価値向上や賃貸時の差別化が図れます。住宅の場合、光熱費削減効果も期待でき、長期的なランニングコストの観点からも所有者にメリットをもたらすでしょう。
非住宅(店舗・事務所など)の場合
非住宅建築物では、ESGへの取り組みを示すツールとしてBELS認証が活用されています。オフィスビル、商業施設、工場、学校など、用途を問わず全ての建築物が評価対象となるため、幅広い活用が可能です。
賃貸オフィスや商業施設では、BELS認証により環境負荷低減だけでなく、入居者・利用者の光熱費削減効果をアピールできます。企業のCSR活動やSDGsへの取り組みとしても評価され、テナント誘致や企業イメージの向上に寄与するでしょう。
また、建築物全体だけでなく、フロア単位やテナント単位での評価も可能なため、複合用途建築物においても柔軟な活用ができます。
BELS取得を検討すべきタイミングと流れ

効果的なBELS活用のためには、適切なタイミングでの取得準備と計画的なスケジュール管理が大切です。
設計段階での取得準備が理想的
BELSは設計図書や計算書類に基づいて評価されるため、設計段階での取得準備が最も効率的です。着工前・着工後・竣工後いずれでも申請可能ですが、設計段階から省エネ性能を意識することで、より高い評価を得やすくなります。
申請から評価書交付まで2週間〜4週間が目安となります。高い評価を目指す場合は、高断熱材や太陽光発電システムなど、一次エネルギー削減設備の導入を設計段階から検討する必要があります。
補助金制度を視野に入れたスケジュール管理
補助金申請を予定している場合は、各制度の申請スケジュールに合わせたBELS取得計画が必要です。多くの補助金制度では、BELS評価書の事前取得が条件となっているため、申請期限から逆算してBELS取得スケジュールを組む必要があります。
特にZEH支援事業では、中間報告時にBELS評価書の提出が求められるため、建築工程と補助金申請スケジュールの両方を考慮した計画が重要です。補助金の予算には限りがあり、申請期間も定められているため、早めの準備が成功の鍵となります。
建築会社や設計事務所との連携も重要で、BELS取得に必要な書類作成や申請手続きについて、事前に役割分担を明確にしておくことが推奨されます。
BELS取得で失敗しないための注意点

BELS取得を成功させるために、よくある失敗例と対策を把握しておきましょう。
よくある申請ミスと対策
申請書類の不備が最も多い失敗例です。BELS申請には、設計図書、仕様書、省エネ計算書など複数の書類が必要となり、一つでも不備があると審査が進まなくなります。特に、省エネ計算書の計算ミスや設計図書との整合性不備が頻繁に発生するため、提出前の入念なチェックが必要です。
また、複合建築物の場合、住宅と非住宅の両方を申請しなければならないケースがあり、申請に伴う作業負担も増えるため、十分な準備期間を確保することが重要です。申請手続きを行う際は、余裕を持ったスケジュールを組み、必要に応じて専門業者への代行依頼も検討しましょう。
評価機関選定のポイント
BELS評価機関は複数存在し、それぞれ審査期間や料金体系が異なります。申請スケジュールに合わせて、適切な評価機関を選定することが重要です。また、評価機関によって得意分野や対応可能な建物規模が異なる場合もあるため、建物の特性に応じた機関選択が必要になります。
費用面では、評価機関により料金設定が異なるだけでなく、追加サービスの有無や支払条件も異なるため、複数の機関から見積もりを取得して比較検討することをお勧めします。信頼性の高い評価機関を選ぶことで、スムーズな申請手続きと確実な評価書取得が期待できるでしょう。
まとめ
BELS認証の取得は、省エネ性能を客観的に示すことで建物の価値向上に大きく貢献します。また、補助金制度と組み合わせることで、費用負担を抑えながら環境配慮型の建物づくりが可能になります。制度の仕組みを理解し、タイミングよく活用することが成功の鍵です。
住宅・非住宅を問わず、BELS認証による省エネ性能の見える化は、今後ますます重要性を増していくでしょう。補助金制度の活用機会を逃さないためにも、設計段階からの計画的な取り組みを推奨します。適切な準備と専門家との連携により、BELS認証の最大限の活用を図りましょう。




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