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CASBEEウェルネスオフィスの評価項目と採点基準、取得メリットを解説

  • soccer31415mt926
  • 9月13日
  • 読了時間: 8分

更新日:10月21日


従業員の健康や生産性を重視したオフィスづくりが注目される中「ウェルネスオフィスって具体的に何をすればいいの?」と感じている方もいるでしょう。


CASBEEウェルネスオフィスは、建物の環境性能だけでなく、働く人の快適性や安全性、生産性への配慮を評価する認証制度です。


本記事では、評価項目や採点基準、取得メリットから認証までの流れまでをわかりやすく解説します。より良い職場環境づくりを目指す企業は、ぜひ参考にしてみてください。


ウェルネスオフィスとは


ウェルネスオフィスとは、従業員の心身の健康と快適性を重視したオフィス環境のことです。企業の競争力向上には、生産性やモチベーションの維持が不可欠とされる中、働く人の健康を支える職場づくりが注目されています。


具体的には、下記のような取り組みが挙げられます。


  • 自然光の確保

  • 空気質の改善

  • 適切な温度・音環境の整備


また、リラックスできるスペースや、部門間の交流を促進するオープンなレイアウトも有効です。こうした要素は、ストレスの軽減や集中力の向上に寄与し、業務効率を高めます。


さらに、ウェルネスオフィスは単なる居心地のよい空間ではなく、企業文化や働き方そのものの見直しにもつながります。従業員が健康で活力を持って働ける環境を整えることで、離職率の低下や組織全体のパフォーマンス向上にも効果が期待できます。



CASBEEウェルネスオフィス評価認証とは 

CASBEEウェルネスオフィス評価認証とは 

CASBEEウェルネスオフィス評価認証は、オフィス環境の質を向上させるための重要な指標となる制度です。この認証は、単に建物の環境性能を評価するだけでなく、そこで働く人々の健康や快適性、生産性に対する配慮も含まれています。


ここでは、CASBEEウェルネスオフィス評価認証について具体的に解説します。


評価対象建物


CASBEEウェルネスオフィスの評価対象は、オフィスビルや商業施設、公共施設など、働く人が日常的に利用する建物です。これらの建物では、従業員の健康や生産性を高めるために、自然光の導入、空気質の向上、適切な温度・音環境の整備など、快適な作業空間の確保が重視されます。


新築だけでなく、リノベーションや改修を行った既存建物も評価対象です。基準を満たせば、既存建物でも認証を取得できるため、幅広い建物に対応可能です。企業は、自社の状況や課題に応じて柔軟に導入を進めることができます。


さらに、ウェルネスオフィスでは、内部環境だけでなく地域社会や自然環境への配慮も評価されます。地域との共生や環境負荷の低減といった視点が重視されるため、社会的責任を果たす建築のあり方としても注目されています。


評価項目


CASBEEウェルネスオフィスの評価項目は、従業員が心身ともに健康で快適に働ける環境づくりを目指して設計されています。評価ではまず、安全性が重視され、建物の構造や防災対策、避難経路の確保など、万一の災害時にも安心して働ける仕組みが整っているかが問われます。


また、健康性に関する指標としては、室内の空気の清浄度、適切な温度・湿度管理、自然光を活かした照明環境の整備などが含まれます。これらは従業員の身体的負担を軽減し、長時間の業務でも健康を維持しやすくします。


快適性の観点では、騒音への配慮や視覚的な快適さ、プライバシーの確保、さらには休憩スペースの整備が重要視されます。これにより、従業員がストレスを感じにくく、集中力を維持できる環境が整います。


さらに、生産性の向上を支える環境として、業務動線の最適化や設備の利便性、部門間の円滑なコミュニケーションを促す空間設計なども評価の対象です。


採点基準の考え方


CASBEEウェルネスオフィスの採点基準は、従業員の健康と快適性を重視した職場環境を評価するために構成されています。評価は建物の性能だけでなく、働く人々の心身への影響も含めた視点から行われます。


採点は「安全性」「健康性」「快適性」「生産性」の4分野に分かれており、それぞれの観点で具体的な要素がチェックされます。たとえば安全性では、構造の堅牢性、防災対策、避難経路の整備といった要素が対象です。


健康性・快適性の分野では、室内空気の質、温度・湿度、音や照明環境が評価され、従業員の身体的・心理的な負荷を軽減する設計が求められます。生産性の面では、業務効率を高めるレイアウトや、部門間のスムーズな連携を支える空間づくりが重視されます。


評価パターン


CASBEEウェルネスオフィスでは、オフィスの特性や目的に応じて「基本評価」と「詳細評価」の2段階の評価方式が用意されています。企業はまず、全体的な環境性能を把握するために基本評価を受け、そのうえで必要に応じて詳細評価を追加することができます。


基本評価では、安全性・快適性・健康性・生産性といった職場環境の総合的な水準を確認します。一方、詳細評価では、各評価項目に対してさらに踏み込んだ分析が行われ、職場改善に向けた具体的な方向性を導き出すことが可能です。


また、2025年版の評価基準では、リモートワークをはじめとした多様な勤務形態も考慮されています。在宅勤務者の健康配慮や、オフィス外でも働きやすい環境整備への視点も評価の一部に組み込まれており、実態に即した柔軟な評価が可能となっています。



CASBEEウェルネスオフィスの評価認証を受けるメリット

CASBEEウェルネスオフィスの評価認証を受けるメリット

CASBEEウェルネスオフィスの評価認証は、単なる制度上の取得にとどまらず、企業経営における重要な戦略ツールとなり得ます。


まず、オフィス環境の現状を客観的に把握し、空気質や音・照明環境、動線計画といった多角的な観点から改善の方向性を明確にできます。これにより、従業員のストレス軽減や集中力の向上が期待でき、結果として業務効率や生産性が高まります。


認証取得は「健康経営」や「ウェルビーイング重視」といった姿勢を対外的に可視化する手段にもなり、CSR・ESG経営の実践としても高く評価されます。


採用活動や人材定着にも好影響を与え、社内外における企業の信頼性やブランド価値の向上につながる点は大きな魅力です。


建物価値の向上という視点でも効果があります。CASBEE認証は不動産評価の加点要素となる場合もあり、将来的な資産価値の維持・向上にも貢献する可能性があります。


CASBEEウェルネスオフィスの主な採点基準

CASBEEウェルネスオフィスの主な採点基準

CASBEEウェルネスオフィスの評価においては、いくつかの重要な採点基準が設けられています。これらの基準は、オフィス環境が従業員の健康や生産性にどのように寄与するかを評価するための指標となります。


ここでは、CASBEEウェルネスオフィスの主な採点基準について解説します。


安全・安心性


CASBEEウェルネスオフィスにおける「安全・安心性」は、従業員が安心して働ける環境を整備できているかを評価する重要な項目です。建物の耐震性や火災対策、避難経路の確保といった災害対応の整備状況が主な評価対象です。


例えば、地震に強い設計やスプリンクラー、防煙設備など、緊急時に備えた仕組みが整っているかが問われます。


さらに、健康や快適性の観点から下記のような要素も別の評価軸で重要視されており、これらの整備を通じて総合的な安心感のあるオフィスづくりが評価されます。


  • 空気質

  • 温度管理

  • 音環境

  • プライバシー


健康性・快適性 


CASBEEウェルネスオフィスにおける「健康性・快適性」は、従業員が心身ともに健康で快適に働ける職場環境の質を評価する項目です。主に下記などが対象となり、自然光の導入や適切な換気など、身体的ストレスを軽減する設計が重視されます。


  • 室内の空気質

  • 温度

  • 湿度

  • 照明

  • 音環境 


また、フィットネススペースやリフレッシュエリアといった設備も、心身のリフレッシュを促す空間として評価の一環に含まれることがあります。


知的生産性向上


CASBEEウェルネスオフィスでは、「生産性」の向上が重要な評価項目の一つとされており、従業員が集中力や創造性を発揮できる空間設計が求められます。


評価では、下記などの知的活動を支える空間構成が重視されます。


  • 静かな作業空間

  • コラボレーションを促すスペースの共存

  • 適切な照明や音環境

  • 温度・湿度 


自然光の確保や遮音性の向上といった快適性の向上施策も、業務の質や効率性に寄与する要素として評価対象です。



CASBEEウェルネスオフィス認証までの手続き

CASBEEウェルネスオフィス認証までの手続き

CASBEEウェルネスオフィス認証を取得するには、いくつかの段階を踏む必要があります。まず、企業は評価対象となるオフィスに対し、CASBEE評価員と連携して環境性能の評価を進めます。


この評価では、下記のような観点からオフィスの現状を確認し、必要に応じて改善案が提示されることもあります。


  • 空気質

  • 照明

  • 防災対策

  • 快適性

  • 生産性


次に、評価員によって作成された「評価報告書」などの必要書類を、CASBEEの登録認証機関(IBEC)へ提出し、認証申請を行います。


IBECによる審査を経て認証が下りれば、企業はCASBEEウェルネスオフィスの認証マークを取得でき、職場環境への取り組みを社内外にアピールできるようになります。


まとめ


CASBEEウェルネスオフィスの認証は、単にオフィスの快適性を評価するだけではなく、従業員の健康や働きやすさを重視した経営姿勢を社内外に示す手段です。快適な職場環境は、モチベーションや定着率の向上を促し、企業の生産性や持続的成長にも直結します。


働く人が安心して力を発揮できる環境づくりこそが、これからの企業に求められる競争力の源となるでしょう。今後、健康経営やサステナビリティの観点からも、ウェルネスオフィスの重要性はますます高まっていくと考えられます。

 
 
 

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