BELS(ベルス)とは?制度の仕組みや申請方法をわかりやすく解説
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- 10月21日
- 読了時間: 8分
更新日:10月22日
省エネ性能に特化した建物評価制度として注目されている「BELS(ベルス)」。聞いたことはあっても、具体的にどんな制度なのか、どうやって取得するのかが分からないという方も多いのではないでしょうか?
この記事では、BELSの仕組みや目的、申請方法をわかりやすく解説し、住宅や非住宅の場面での活用ポイントをご紹介します。
BELSとは?制度の基本をわかりやすく解説
BELSは、建物の省エネ性能を客観的に示す制度です。具体的な内容を見てみましょう。
BELS(ベルス)とは何か
BELS(ベルス)は、「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称で、建物の省エネ性能を客観的に評価・表示する制度です。国が定めた基準に基づき、住宅やオフィスなどがどれだけ効率的にエネルギーを使っているかを第三者機関が認証します。
評価は星の数で表され、性能の高さを直感的に理解できるのが特徴です。星の数が多いほど省エネ性が優れていることを示すため、購入者や事業者にとって選択の判断材料になります。
また、エネルギー効率の高い建物の普及を後押しし、環境負荷の軽減や社会全体での持続可能性向上にも役立つ仕組みとして注目されています。
BELS認証の目的と仕組み
BELS認証の目的は、建物のエネルギー効率を数値化し、省エネ性能を「見える化」することにあります。これにより、消費者や投資家は省エネ性能を比較しやすくなり、安心して選択できるようになります。
評価方法は、省エネ性能を星1〜5で表し、5つ星は非常に高い省エネ性能を示します。評価の際には断熱性、設備効率、再生可能エネルギーの利用などがチェックされます。
設計段階から運用まで幅広い観点で評価されるため、建物の価値を高める基準としても有効です。BELSは、省エネを推進し持続可能な社会を実現する重要な制度といえるでしょう。
評価対象となる建物
BELSの評価対象は、戸建住宅や集合住宅にとどまらず、オフィスビル、商業施設、学校、病院、工場など多岐にわたります。
評価の際には、建物全体のエネルギー消費量を基準とし、断熱性能や空調・照明設備の効率、再生可能エネルギーの導入状況なども詳細にチェックされます。こうした幅広い視点から性能を測ることで、建物の実態に即した客観的な評価が可能になります。
また、新築だけでなく既存建物も対象に含まれる点が特徴です。リフォームや改修を検討する際に活用すれば、省エネ改善の方向性を明確にでき、効率的な投資判断にもつながります。
その結果、建物の資産価値を高めるだけでなく、環境配慮と経済性の両立を実現する有効な手段となります。
BELSと他の評価制度との違い

ここではBELSとCASBEE、住宅性能評価制度の違いを比較し、それぞれの特徴を整理します。
制度名 | 主な評価対象 | 評価方法 | 特徴 |
BELS | 省エネ性能 | 星(1〜5)で数値化 | シンプルで直感的、省エネ性能を明確に示せる |
CASBEE | 環境全般(エネ効率・環境負荷・快適性・地域調和など) | S〜Cの5段階ランク (S、A、B+、B−、C) | 環境を総合的に評価、詳細なレポートで提示される プロセスはやや複雑 |
住宅性能評価制度 | 住宅の品質・安全性(耐震・耐久・遮音・居住性など) | ランク付け(優良・良好など) | 総合的な安心感を提供、住宅購入の判断材料に有効 |
CASBEEとの違い
CASBEE(キャスビー)は、省エネに特化したBELSとは評価の視点が異なり、建物の環境性能を多角的に評価する制度です。対象はエネルギー効率だけでなく、環境負荷、快適性、景観や地域との調和など幅広く、建物全体の環境品質を総合的に判断できます。
評価項目が多いためプロセスは複雑ですが、その分詳細なレポートが得られるのが特徴です。自治体の公共施設や大規模開発で採用されることも多く、持続可能なまちづくりを推進する役割を担っています。
また、企業のCSR活動や環境配慮のアピールにも活用されるケースがあります。環境全般のバランスを把握したい場合に有効な制度といえるでしょう。
住宅性能評価制度との違い
住宅性能評価制度は、住宅の品質や安全性を幅広く確認できる仕組みです。耐震性、耐久性、遮音性、居住性など多様な性能を対象に、専門機関が客観的に評価します。結果は「優良」や「良好」といったランクで示され、住宅購入者に安心感を与える点が特徴です。
新築住宅の売買や住宅ローンの利用時に役立つほか、将来的な資産価値を保つ手段としても注目されています。また、住宅トラブルを防ぐための客観的な証明としても活用されます。
住宅全体の性能を把握したい場合に有効な制度ですが、エネルギー効率の指標は限定的です。そのため、省エネ性能を明確に知りたい場合はBELSをあわせて活用するのが効果的です。
BELS認証の取得手順

ここではBELS認証を受けるための、基本的な手順を順番に確認していきましょう。
申請に必要な書類
BELS認証を申請する際には、建物の設計図書や仕様書といった基本資料が必須です。これには建物の構造、断熱性能、設備機器の詳細など、省エネ性能を判断するための情報が盛り込まれています。さらに、エネルギー消費量を算出するためのデータも必要です。たとえば、使用予定のある設備の性能値や過去のエネルギー使用実績が該当します。
加えて、申請書には申請者の氏名や住所、建物の所在地や用途といった基本的な情報を記載する必要があります。こうした書類に不備があると再提出が求められるため、書類は正確に準備しておきましょう。
申請先と評価機関
BELS認証は、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)に登録された評価機関が審査・発行を担当します。全国に複数存在する評価機関は、それぞれ異なる専門性やサポート体制を持っているため、建物の用途やプロジェクトの規模に合った機関を選ぶことが重要です。
申請の流れは、評価機関による受付後に審査が行われ、必要に応じて現地確認が実施されます。審査期間や費用は機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。信頼できる機関を選べば、余計な手戻りを防ぎ、スムーズに認証取得へ進めます。
認証取得までの流れ
BELS認証取得は、4ステップで進みます。
準備
まず建物の省エネ性能を確認し、設計図やエネルギー計算書など必要な資料を整えます。事前の準備が不足すると、後の審査で手戻りが発生しやすくなるため注意が必要です。
申請
用意した資料を申請書とともに評価機関へ提出します。申請方法や必要な手続きは機関ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。
審査
評価機関が提出書類を基に審査を行い、必要に応じて現地確認を実施します。建物が基準を満たしているかどうか、専門的な視点から評価されます。
発行
基準に適合すると認証結果が通知され、正式なBELS認証が発行されます。取得した認証は、省エネ性能を客観的に示す証明となり、建物の価値向上や利用者への安心感につながります。
この流れを理解して計画的に進めることが、スムーズな認証取得への近道となります。
BELS認証を取得するメリット

ここではBELS認証を取得することで得られる主なメリットを3つの視点から解説します。
省エネ性能の可視化で住宅価値向上
BELS認証は、省エネ性能を客観的に示すための有効な指標です。認証を受けた住宅は、エネルギー効率が高いことを明確にアピールできるため、購入希望者や入居希望者にとって魅力的にです。とくに環境意識の高い消費者が増えている現在、省エネ性能は住宅選びの重要な基準となっています。
さらに、省エネ性の高さは光熱費の削減にも直結します。居住者にとっては日々の支出を抑えられるため、実生活におけるメリットも大きいといえるでしょう。このように、BELS認証は市場での差別化を可能にし、長期的な価値向上を支える制度といえます。
ZEHや補助金制度との連携
BELS認証は、ゼロエネルギーハウス(ZEH)や補助金制度との親和性が高い点も特徴です。ZEHは年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけることを目的としており、BELS認証はその性能を数値で証明する役割を果たします。
また、BELS認証を取得した建物は、国や自治体が実施する補助金や税制優遇の対象となるケースも多く、初期投資を抑える効果が期待できます。
結果として、環境に配慮した住宅の普及を後押ししつつ、所有者にとっては経済的な負担を軽減できるのです。つまり、BELS認証は省エネ性能を保証するだけでなく、経済的なインセンティブを得るための重要な仕組みといえるでしょう。
維持管理コストの削減と長期的な経済効果
BELS認証を受けた建物は、省エネ設計や高効率設備を備えているため、光熱費が抑えられ、日常的な維持管理コストの削減につながります。エネルギー効率の高い機器や断熱性能の優れた建材を採用することで、修繕や更新の頻度も減り、長期的な支出を抑える効果が期待できます。
さらに、BELS認証を持つ建物は市場での評価も高まりやすく、将来的な売却や賃貸の際に有利な条件を得やすいのも利点です。このように、資産価値の安定や向上に直結するため、単なる省エネ性能の証明にとどまらず、投資的な視点からも大きな意味を持つといえるでしょう。
まとめ
BELS(ベルス)は、省エネ性能に特化した建物評価制度として、住宅や非住宅の分野での重要性が増しています。
この記事では、BELSの基本的な仕組みや目的、申請方法について詳しく解説しました。BELS認証を取得することで、建物の省エネ性能が可視化され、住宅の価値向上や維持管理コストの削減といった多くのメリットが得られます。
また、ZEHや補助金制度との連携も可能で、持続可能な社会の実現に向けた一助となります。今後、BELSを活用することで、より環境に配慮した建物づくりが進むことが期待されるでしょう。




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