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casbeeとは?種類や評価方法、受ける流れまでわかりやすく解説

  • soccer31415mt926
  • 9月13日
  • 読了時間: 7分

更新日:10月21日


環境性能の高い建物づくりが求められる中で「CASBEEを耳にしたことはあるけど、実際にはどのような制度なの?」と感じている方もいるでしょう。CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は、建物の環境性能を総合的に評価し、その結果に応じて認証が得られる制度です。


本記事では、CASBEEの概要から評価方法、認証を受ける流れ、そして国や自治体のインセンティブ事例などを解説します。省エネや環境配慮の取り組みをより効果的に進めたい方はぜひ参考にしてみてください。


CASBEEとは? 

CASBEEとは? 

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は、建物の環境性能を総合的に評価する制度です。エネルギー効率、資源利用、室内環境の快適性など、複数の視点から建物の環境負荷や性能を数値化し、持続可能な建築の推進を目的としています。



新築・既存を問わず、設計から運用まで幅広い段階での評価に対応しており、建物のライフサイクル全体をカバーできる点が特長です。評価結果に基づく認証を取得することで、環境配慮型の建物としての信頼性を可視化でき、利用者・投資家へのアピールや不動産価値の向上にもつながります。


環境負荷の低減が企業や自治体の課題となる中、CASBEEは環境性能の客観的な指標として、建築・不動産分野における重要な評価ツールとなっています。



CASBEE認証を受けるメリット

CASBEE認証を受けるメリット

CASBEE認証を取得することで、建物の環境性能が客観的に評価され、社会的信頼性が高まります。企業であれば、環境配慮への取り組みとしてブランディングに活用でき、顧客や取引先からの評価向上にもつながります。


また、国や自治体によっては、CASBEE認証を取得した建物に対して補助金や税制優遇が適用される場合があります。これにより、初期投資の負担を軽減し、長期的には光熱費などの運用コスト削減も期待できます。


さらに、認証を受けた建物は、断熱性や通風性などに優れ、快適な室内環境を提供します。居住者や利用者の満足度が高まり、結果として長期入居や施設利用の継続にも寄与します。


CASBEEの評価ツールの種類

CASBEEの評価ツールの種類

CASBEEには、建物の種類や状態に応じた複数の評価ツールが用意されています。主なツールは以下の通りです。


ツール

対象

評価内容

CASBEE-建築(新築)

新築建物

設計段階からの環境性能評価/建築確認と並行する評価

CASBEE-建築(既存)

既存建物

改修・リノベ前提の状態評価と改善提案

CASBEE-戸建て

一戸建住宅

断熱性能、省エネ設備、自然エネルギー利用などを評価

CASBEE-不動産

収益用不動産(オフィス・店舗・物流施設など)

既存不動産の資産価値・環境性能を総合評価

CASBEE-ウェルネスオフィス

オフィス・店舗など

SDGs対応含めた業務用建築物の評価

これらのツールを適切に使い分けることで、建物の特性に応じた環境性能評価と改善が可能になり、持続可能な建築の推進に貢献します。



CASBEE認証の評価方法

CASBEE認証の評価方法

建物の環境性能を見える化し、持続可能な社会づくりを後押しするのが「CASBEE認証」です。ここでは、CASBEEがどのような視点で建物を評価し、どのような基準で認証ランクを決定しているのか、その評価の仕組みを具体的に紹介します。


CASBEEの評価分野と対象 


CASBEEは、建物の環境性能を「環境品質(Q)」と「外部環境負荷(L)」の2軸で評価し、それを数値化した指標(BEE値)によって総合的なランクを決定します。


評価軸

主な評価内容

環境品質(Q)

  • 室内の快適性(温熱環境・空気質・音環境)

  • サービス性能(耐久性・維持管理性・安全性)

  • 敷地内環境(緑化・景観・周辺との調和)

環境負荷(L)

  • エネルギー消費

  • 水資源・マテリアルの使用効率

  • 廃棄物・CO₂排出・騒音などの外部への環境影響


「環境品質(Q)」は、主に建物の内部や敷地内の快適性と性能に関わります。評価項目には、温熱環境・空気質・音環境などの室内環境、建物の耐久性や維持管理のしやすさを示すサービス性能、そして敷地内の緑化や景観への配慮が含まれます。


「環境負荷(L)」は、建物が外部環境に与える影響に着目しています。エネルギー消費量、水や資源の使用状況、温室効果ガスや廃棄物排出、地域の生態系への影響などが評価対象です。



CASBEEでのランクの付け方


CASBEEでは、建物の環境性能を総合的に評価し、その結果に応じて、下記5段階でランク付けが行われます。


  • S

  • A

  • B +

  • B

  • C



最高ランク「S」は、設計から運用に至るまで、非常に高いレベルで環境配慮がなされた建物に与えられます。


評価項目には、エネルギー効率、資源の有効活用、環境負荷の低減などがあり、これらをもとに「環境品質(Q)」と「環境負荷(L)」の比率を示すBEE値が算出されます。


この多面的な評価手法により、建物の環境配慮レベルを客観的かつ視覚的に示すことができます。


CASBEEの評価対象建物


CASBEEは新築・既存を問わず、下記のようなさまざまな用途の建物を評価対象としています。


  • 住宅

  • 商業施設

  • オフィス

  • 公共施設 など


設計段階から運用フェーズまで、建物のライフサイクルに応じた専用の評価ツールが用意されており、各段階での環境性能を的確に評価可能です。


既存建物のリノベーションや省エネ改修にも対応しており、評価結果に基づく改善提案によって、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減が図れます。こうした取り組みは、持続可能な建築の実現を後押しする手段として注目されています。



国・自治体によるCASBEE認証を活用したインセンティブ事例 


CASBEE認証は、環境性能の高い建物を広めるために、国や自治体のインセンティブと連動しています。


長野県では「信州健康エコ住宅助成金制度」が設けられ、CASBEE-戸建(新築)で条件を満たした住宅を対象に助成金が交付されます。これにより、施主は建設コストの一部を補助金で賄うことができ、環境性能の高い住宅建設がより現実的な選択肢となります。



さらに、認証取得によって地域環境への貢献が評価され、住民からの信頼や地域価値の向上にもつながります。


CASBEE認証を受ける流れ

CASBEE認証を受ける流れ

​​CASBEE認証を受けるための流れは、一般的にいくつかのステップに分かれています。ここでは、CASBEE認証を受ける流れについて紹介します。


一般的なCASBEE認証の流れ


CASBEE認証は、まず評価対象となる建物の用途や状態に応じて、CASBEE-建築(新築・既存・改修)、CASBEE-戸建、CASBEE-不動産など適切なツールを選択することから始まります。


次に、設計図書・仕様書・一次エネルギー消費量算定書など必要な書類を準備し、申請を行います。提出後、専門のCASBEE評価員がマニュアルに基づいて審査を実施し、不備がある場合は修正や追加資料の提出を求められることもあります。


最終的に認証委員会の承認を経て、認証書や認証ラベルが交付されます。取得した認証は公的に証明されるため、建物の環境性能を対外的に示すことが可能です。


自治体版CASBEEの場合


自治体版CASBEEでは、各自治体が定める条例や要綱に基づき、建築確認申請に先立ってCASBEEによる評価結果の届出が必要です。


対象は多くの自治体で延べ床面積2,000㎡以上の新築・増改築建築物で、設計段階から環境性能を評価し、提出期限(例:建築確認の21日前など)までに「環境計画書」や評価結果を自治体へ提出します。


提出後、自治体は内容を確認し、不備があれば修正・再提出を求める場合があります。評価結果は自治体によって公表されることもあり、透明性を高める仕組みとして活用されています。


CASBEEの費用


CASBEE認証を取得するには、複数の費用が発生します。まず必要なのが評価手数料で、建物の規模や評価の種類によって異なり、一般的には数十万円が相場です。具体的な金額は各評価機関で異なるため、事前の確認が必要です。



加えて、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用、環境配慮型の建材選定といった対応により、設計・施工段階で追加の投資が必要になる場合があります。ただし、これらの投資は光熱費の削減や資産価値向上といった長期的なメリットにつながる可能性があります。


また、申請準備や書類作成には人件費もかかります。専門コンサルタントを利用する場合、その費用も加味する必要があります。総費用は建物の用途や評価内容によって大きく変動するため、あらかじめ確認しましょう。



まとめ


CASBEEは、建物の環境性能を「見える化」し、社会的信頼や資産価値の向上に寄与する制度です。認証を取得することで、自治体からの優遇措置や補助金などのインセンティブも得られます。


評価対象やツールを正しく理解し、設計段階から活用することで、環境負荷の低減だけでなく、企業や地域の価値向上にもつながります。


持続可能な社会の実現を目指すうえで、CASBEEの活用はますます重要になるでしょう。

 
 
 

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