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CASBEEとLEEDの違いは?評価・取得方法や取得メリットから比較

  • soccer31415mt926
  • 9月13日
  • 読了時間: 8分

脱炭素やESGが重視される中、建物の環境性能を可視化する「認証制度」への注目が高まっています。中でもよく比較されるのが、日本のCASBEEと国際的なLEEDです。そのため、どちらを取得すべきか悩んでいる方もいるでしょう。


本記事では、両制度の特徴や評価・申請方法の違いをわかりやすく比較し、それぞれのメリットや選び方のポイントを解説します。


環境性能評価認証が増加傾向にある理由

環境性能評価認証が増加傾向にある理由

建物の環境性能評価認証が増加している最大の理由は、脱炭素社会の実現とESG経営への対応が急務となっているためです。企業や自治体は、持続可能な開発の一環として、環境性能を可視化・数値化する評価制度を導入する動きを強めています。


中でも、CASBEEやLEEDといった制度は、建物の設計や運用における環境負荷を定量的に評価できる手段として広く活用されています。これらの認証は、エネルギーコストの削減や資産価値の向上を通じて、企業の経済的メリットにもつながるため、投資家やテナントの関心も高まっています。


また、認証取得はブランドイメージの向上やCSR(企業の社会的責任)の一環としても機能し、企業の信頼性を高める効果があります。さらに、国や自治体による環境政策の強化を背景に、一部では認証の取得が義務化されるケースも増加しており、今後さらに普及が進むと見込まれます。


CASBEEとLEEDの違いは? 

CASBEEとLEEDの違いは? 

CASBEEとLEEDは、どちらも建物の環境性能を評価するための認証制度ですが、そのアプローチや評価基準には明確な違いがあります。


ここでは、CASBEEとLEEDの違いについて紹介します。


国内向けの評価制度CASBEE 


CASBEEは、日本の気候・文化・建築基準に最適化された建物の環境性能評価制度です。正式名称は「建築物の環境性能評価システム」で、持続可能な建築を促進するために導入されました。


最大の特徴は「環境負荷」と「環境品質(価値)」の両面から建物を総合的に評価する点です。環境負荷ではエネルギー消費やCO₂排出量などのマイナス要因を、環境品質では快適性・健康性・地域貢献といったプラスの要素を数値化します。


この二軸評価により、単に負荷を減らすだけでなく、社会や居住者に価値を提供する建物が高く評価されます。


評価は新築・既存を問わず、設計段階から運用段階まで対応しており、結果は「CASBEE評価書」として発行されます。この書類は建物の環境性能を客観的に示す証拠として、販売・賃貸時の訴求や、ESG経営の裏付け資料として活用されます。



国際的な評価制度LEED 

LEEDは、アメリカで開発された世界基準の環境性能評価制度であり、建物の設計・建設・運用における持続可能性を総合的に評価します。エネルギー効率、資源の最適利用、室内環境の質、立地条件などが主な評価項目です。


評価はポイント制で行われ、取得ポイントに応じて「Certified」「Silver」「Gold」「Platinum」の4段階の認証が与えられます。これにより、開発者や企業は明確な目標を持って環境性能の向上に取り組むことが可能です。


LEEDは国際的に認知されており、特にグローバルに事業を展開する企業にとっては、環境への取り組みを証明する強力なツールとなります。


認証を取得することで、ブランド価値や国際的な競争力が向上し、投資家・顧客からの信頼を得る手段としても機能します。



CASBEEとLEEDの違いを表で比較


CASBEEとLEEDは、評価基準やプロセスに明確な違いがあります。下記が具体的な違いです。



CASBEE

LEED

対象地域

日本国内

国際的(主に北米)

評価基準

環境負荷の軽減

快適性

持続可能性を重視

エネルギー効率

持続可能なサイト

材料の選定など多岐にわたる

認証レベル

5段階

4段階

評価方法

定量評価と定性評価を組み合わせた方式

ポイント制による評価

申請プロセス

日本語での申請

英語での申請が必要

取得にかかる時間

比較的短期間(数ヶ月)

長期間(数ヶ月から1年以上)


CASBEEは日本の特性に合わせた評価基準を持ち、国内の建物に特化した内容です。一方、LEEDは国際的な基準に基づいており、特にエネルギー効率や持続可能性に重点を置いています。これらの違いを理解することで、どちらの認証を取得するかの判断材料となるでしょう。


CASBEEとLEEDどちらを取得すべき?

CASBEEとLEEDどちらを取得すべき?

国内向けならCASBEE、国際展開を視野に入れるならLEEDの取得が適しています。


CASBEEは日本の気候や社会背景に合わせた基準を採用しており、国内の建築プロジェクトには実務面でも親和性が高く、自治体の補助制度などにも連動しやすいという利点があります。地域性や生活者目線に配慮した評価ができるため、地場密着型の開発にも有効です。


一方、LEEDは世界で広く認知されており、海外事業や外資系企業との連携を想定するプロジェクトでは、国際的な信頼を獲得する手段となります。多様な建物用途に対応した柔軟な評価体系を持ち、環境配慮への姿勢をグローバルに示すことが可能です。


両制度ともに取得にはコストと時間が伴います。プロジェクトの目的、ターゲット、立地、予算、利害関係者の要望などを踏まえ、最適な認証制度を選定することが重要です。


CASBEEを取得するメリット


CASBEEは、日本の気候・社会条件に即した評価基準を採用しており、地域の実情に合わせた環境配慮設計が可能です。国内の建築プロジェクトにおいて、実務的かつ現実的な改善指針となります。


取得実績は、ESGやCSRへの取り組みの可視化にもなり、環境意識の高い投資家や消費者に対して強いアピールが可能です。企業の環境姿勢を示す明確な証拠となり、ブランドイメージの向上や信頼獲得に寄与します。


また、自治体や国によっては補助金・税制優遇などの制度が整っており、初期費用の負担軽減も期待できます。これにより、環境性能の高い建築への投資がしやすくなります。

さらに、CASBEEは建物の設計から運用・維持管理までを評価対象とするため、ライフサイクル全体での効率性や資産価値の維持・向上にもつながります。


LEEDを取得するメリット


LEEDの認証を取得することで、環境性能が国際基準で評価された建物としての信頼性を確立できます。これにより、海外投資家・テナントへの訴求力が高まり、特にグローバルに展開する企業にとっては大きな強みとなります。


また、LEEDの設計基準に沿うことで、エネルギー効率の向上や水資源の最適利用が図れ、光熱費や運用コストの削減も期待できます。室内環境の質も向上するため、テナント満足度や従業員の生産性向上にも寄与します。


LEEDは企業のESG・CSR活動の一環としても有効です。環境配慮型の施設運営は、社会的評価の向上に直結し、ブランド価値の強化やリスクマネジメントにもつながります。


加えて、一部自治体ではLEED取得に対する補助金や税制優遇があり、初期投資の回収にも貢献します。長期的には建物の資産価値向上も見込めるため、経済面でも高いメリットがあります。


CASBEEとLEEDの評価基準の違い

CASBEEとLEEDの評価基準の違い

CASBEEは日本国内の気候や文化に即した環境性能評価制度であり、建物のエネルギー効率、環境負荷、快適性、地域貢献などを総合的に評価します。


一方、LEEDは国際的な基準に基づき、エネルギー効率、水資源の管理、材料選定、室内環境の質など、より広範な観点から建物を評価します。


CASBEEは地域密着型のプロジェクトに適しており、行政や地域住民のニーズを踏まえた設計評価に強みがあります。LEEDは世界中で通用する指標であり、国際展開を視野に入れる企業にとって、ブランド価値や信頼性の向上につながります。


評価基準の方向性が異なるため、どちらを選ぶかはプロジェクトの目的や対象市場によって決まります。評価制度を適切に選定することで、環境性能だけでなく、経済的・社会的な価値も高めることが可能です。


CASBEEとLEEDの取得時の違い


CASBEEは日本国内向け、LEEDは国際基準に基づく制度であり、それぞれ評価のアプローチや重点項目が異なります。


CASBEEは、日本の気候や法制度、居住文化に対応した評価基準を採用しています。評価は「環境負荷の低減」と「環境品質の向上(快適性や地域貢献)」の2軸を重視し、建物のライフサイクル全体における持続可能性を定量的に評価する点が特徴です。


また、評価はQ値(環境品質)とL値(環境負荷)の比率で示される「建築環境効率(BEE)」によって算出され、地域密着型の環境性能評価が可能です。


一方、LEEDはアメリカ発の制度で、評価項目はグローバルに共通する持続可能性要素に焦点を当てています。主な評価項目には下記などがあり、取得ポイントに応じて4段階の認証レベルが決まります。


  • エネルギーと大気

  • 持続可能な立地

  • 水の効率利用

  • 資源と材料

  • 室内環境の質


国際的な認知度が高く、グローバル展開を見据えた企業にとっては戦略的価値があります。


アメリカ省エネルギー省の指定ソフトの使用が必要 


LEED認証では、アメリカ省エネルギー省(DOE)が指定するエネルギー解析ソフトの使用が推奨されています。


代表的なツールには「EnergyPlus」や「eQuest」があり、建物のエネルギー消費や温室効果ガス排出量を精密にシミュレーションすることで、LEED基準への適合性を評価します。


このため、LEED取得には専門ソフトを扱えるスキルやエネルギー解析の知識が必要であり、取得プロセスが技術的に高度になる傾向があります。


申請に必要な書類は英語で提出 


LEED認証を申請する際は、すべての提出書類を英語で作成する必要があります。これはLEEDが国際的な評価制度であり、世界共通の基準に基づく公平な審査を行うためです。


英語での書類作成に不安がある場合は、LEED申請に精通したコンサルタントや翻訳支援を活用することで、手続きの負担を軽減できます。文書の精度は評価結果に直結するため、丁寧な準備が認証取得の鍵となります。


まとめ 


CASBEEとLEEDは、それぞれ国内外に特化した環境性能評価制度であり、建物の設計段階から持続可能性を高める上で有効な手段です。CASBEEは日本の地域性や文化に即した評価ができ、LEEDは国際的な信頼性とブランド力を発揮します。


脱炭素社会への移行が進む中で、環境性能を正しく評価し可視化することは、企業の信頼性や競争力を高める上でも不可欠です。プロジェクトの目的に応じた制度の選択が、未来の価値を左右します。

 
 
 

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