top of page

エネルギーパスとは?概要や計算方法について紹介 | 株式会社JNS建築事務所

建物を評価する指標の一つに、エネルギーパスと呼ばれるものがあります。このエネルギーパスについて、どのような内容の物かがわからずに悩んでいるのではないでしょうか。


この記事ではエネルギーパスの概要紹介とあわせて、計算方法や疑問について解説していきます。ぜひ参考にしてください。


↑↑詳しくはバナーをクリック


エネルギーパスとはどのようなもの?

エネルギーパスについて理解するためには、以下の3点を押さえておく必要があります。


  • エネルギーパスは建築物の「燃費性能」を示す指標のこと

  • EUではエネルギーパスによる燃費性能の表示が義務化されている

  • エネルギーパスはドイツから生まれた指標である


それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。


エネルギーパスは建築物の「燃費性能」を示す指標のこと

エネルギーパスは、建物の「燃費性能」を評価する指標のことです。ep3エネルギーパスが登場するまでは、建物の燃費性能を示す共通の指標が設けられていませんでした。


そのため、省エネ住宅や外断熱住宅、無暖房住宅などのさまざまな名称の中から、どれが本当に低燃費なのか誰もわからないといった背景があります。


そこで、消費者がわかりやすく地球温暖化にも役立つようにと、エネルギーパスが開発されました。エネルギーパスは「家の省エネ性能がどの程度かを一般消費者にもわかりやすくする」ことを主な目的として開発されています。


また、住宅の省エネ性能に興味関心を持ってもらうだけではなく、賃貸・売買契約の主な条件の1つとしてもエネルギーパスは用いられています。





EUではエネルギーパスによる燃費性能の表示が義務化されている

エネルギーパスはEU加盟の27か国で「建築物のエネルギー性能にかかわる欧州指令(EPBD)」によって、建物の新築、売買、賃貸借時の取得および提示が義務化されています。


ヨーロッパ各国では、1年間を通して快適な室内温度を維持するための必要エネルギー量が明示されており、給湯・照明の使用に必要なエネルギー量をKWH/㎡・年で表示・評価する指標です。


明確に数値化されていることから、誰もが家の燃費を客観的かつ簡単に確認できるのは、メリットの一つといえるでしょう。実際、ヨーロッパでは自宅の燃費性能をすぐに答えられる人が多いようです。


エネルギーパスはドイツから生まれた指標である

エネルギーパスは、2008年7月よりドイツから普及している指標です。建物の賃貸・売却取引時に、あらかじめ家の燃費性能を把握できるのがメリットとなります。


また、EUをはじめとする先進国では、不動産取引時の「家の燃費性能」が、エネルギーパスにて明示されます。そのため、誰でも簡単に燃費性能を把握でき、比較自体も難しくありません。


実際、建物の立地や間取り、インテリアと併せて、燃費性能は建物の価値を決める一つの要素といえるでしょう。


日本においては、2011年7月にドイツの協力を経て「一般社団法人日本エネルギーパス協会 」が設立されています。一般社団法人エネルギーパス協会では、評価資格者の養成と低燃費住宅の普及や啓蒙、および任意制度としてのエネルギーパスの普及促進を図っています。


エネルギーパスの計算について

エネルギーパスの計算は、以下3つのステップで消費量を計算します。


  • 必要エネルギー

  • 最終エネルギー

  • CO2排出量


なおエネルギーパスの計算は、一般社団法人日本エネルギーパス協会が提供している計算ソフトを使用すれば求められます。ただし、日本エネルギーパス協会の認定ライセンス取得が必要となるため、注意しましょう。


必要エネルギー

必要エネルギーは、「快適な室内温度(冬期20℃、夏期27℃以下)を保ったうえで、給湯使用や暖房使用などの所定生活を1年間送った時に必要となるエネルギー量のこと」です。


必要エネルギーには給湯器や発電システムなどのアクティブな設備効率は含まれません。あくまでも断熱性能や日射コントロール性能を図ったうえで、建物の省エネルギー性能を示す値です。


必要エネルギーは数値が少ないほど快適性で、高い居住性能や健康性を有していることを表します。





最終エネルギー

最終エネルギーは、求めた必要エネルギー量を実装する設備機器(給湯器やエアコン、太陽光発電システムなど)で供給した場合の、電気・ガス・灯油などで消費するエネルギー量のことです。


最終エネルギーは設備機器のエネルギー効率によっても変動し、効率の高い機器を使用すれば必要エネルギーよりも小さく、効率の低い機器を使用すれば必要エネルギーよりも大きくなります。


最終エネルギーは実際に支払うであろう光熱費の理論値を算出でき、ランニングコストとなる経済的指標を数値化できるのも特徴です。


CO2排出量

CO2排出量は、住宅で消費するエネルギー量にCO2排出係数を掛けることで求められる数値です。


CO2排出量で求められた数値は、エネルギーの消費による環境への影響を評価する項目に利用されます。




エネルギーパス資格認定者講習とは?

エネルギーパス資格認定者講習とは、日本エネルギーパス協会が実施している研修・講習会のことです。


本講習では「なぜ建築物の省エネ性能を高める必要があるのか」という観点の元、地球環境保護やエネルギー安全保障、住まい手の健康保護などの視点から理解を深めていきます。


その後断熱や気密、日射コントロールなどのエネルギーパスの計算プロセスを理解し、最終的には省エネ建築設計の基本的な知識を身につけることを目的としています。


資格認定者講習の終了後、所定の手続きを行うことでライセンスが発行され、日本エネルギーパス協会が作成・提供する計算ソフトの利用ができるようになります。





エネルギーパスに関するよくある疑問

エネルギーパスのよくある疑問として、以下の2つを紹介します。


  • ソフト・エネルギーパスとは?

  • エネルギーパスの第三者認証とは?


それぞれの疑問について、内容を見ていきましょう。


ソフト・エネルギーパスとは?

ソフト・エネルギーパスは、物理学者であるA・ロビンスが提唱したエネルギー戦略のことです。効率の向上および自然エネルギー利用を中心とする柔軟な戦略となっており、環境を重視したエネルギー利用者の考え方がもととなっています。


ソフトエネルギーは非枯渇・分散的で理解しやすいことから、最終用途の質と量に適合しているとされ、結果的に新エネルギー開発の広い活動のきっかけとなりました。


エネルギーパスの第三者認証とは?

エネルギーパスは基本的に、エネルギーパスの評価プログラムを用いて、設計者が自己評価するものです。これに対して、第三者認証は自己評価書を基に、客観的な立場の機関が認証を行うことを指します。


第三者認証は住宅の設計図や設備の仕様書といった資料をもとに、設計仕様と評価内容が合致しているかを確認します。その後、問題がなければエネルギーパスの認証書を発行する制度です。



↑↑詳しくはバナーをクリック

bottom of page