建設住宅性能評価書がない・もらってないときはどうする?理由と対処法を徹底解説
- soccer31415mt926
- 10月22日
- 読了時間: 9分
住宅を購入・新築した後で、「建設住宅性能評価書がない」「もらってない」と気づくケースは意外と多くあります。この評価書は、住宅の品質や安全性、省エネ性を証明する大切な書類です。本記事では、建設住宅性能評価書がない場合に考えられる原因やリスク、対処方法について解説します。
建設住宅性能評価書とは?
住宅の品質や性能を客観的に証明する公的な書類です。制度の目的や設計評価書との違いを理解し、評価書の重要性を確認しましょう。
制度の目的と役割
建設住宅性能評価書制度は、住宅の品質向上と消費者保護を目的として2000年に施行されました。第三者機関である登録住宅性能評価機関が、完成した住宅を実際に検査して性能を評価します。
この制度により、耐震性、耐火性、省エネルギー性など10分野の性能項目について等級で表示されるため、住宅の性能が一目で把握できるでしょう。また、評価書があることで住宅ローンの金利優遇や地震保険料の割引、各種補助金の対象となる場合があります。
万が一住宅に欠陥が発見された場合は、指定住宅紛争処理機関による紛争処理制度を利用できるため、購入者にとって大きな安心材料となります。
設計住宅性能評価書との違い
住宅性能評価には「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の2種類があり、それぞれ異なる段階で交付されます。設計住宅性能評価書(以下、設計評価書)は設計図書に基づいて交付される書類で、建設前の計画段階での性能を評価したものです。
一方、建設評価書は実際に完成した住宅を検査して交付される書類で、現場での施工状況や完成品質を反映した実際の性能が記載されています。設計評価書を取得していても、建設評価書がなければ完成した住宅の性能は証明されません。
建設評価書の方が実際の住宅性能を証明する効力が高く、各種制度の適用条件としても建設評価書が求められることが一般的です。
建設住宅性能評価書がないと気づくきっかけ

ここでは、評価書の不備に気づくきっかけをいくつか紹介します。
住宅引き渡し後に書類の不備に気づく
新築住宅の引き渡し時には多くの書類を受け取るため、その場では建設住宅性能評価書の有無を確認できていないケースがあります。引き渡し後に書類を整理していて初めて、評価書がないことに気づく方も少なくありません。
また、住宅の設計段階では性能評価を取得する予定だったものの、工事の進行過程で評価取得を取りやめになった場合もあります。この場合、設計住宅性能評価書は交付されているが、建設住宅性能評価書が交付されていないという状況が生じます。
施工業者との連絡不備や手続きの遅れにより、評価書の交付が大幅に遅れているケースもあるでしょう。通常の目安として引き渡しから数週間以内には交付されることが多いため、1か月以上経過しても届かない場合は確認することをおすすめします。
中古物件購入時に気づく
中古住宅を購入する際に、建設住宅性能評価書がないことが判明するケースも多々あります。売主が評価書の重要性を理解しておらず、紛失していたり、そもそも交付を受けていなかったりする場合があります。
不動産業者によっては、建設住宅性能評価書について十分な説明を行わずに売買契約を進めることもあり、購入後に評価書がないことを知って困惑される方もいるでしょう。特に築年数の古い物件では、制度開始前の住宅であるため評価書自体が存在しないケースも少なくありません。
中古住宅の場合、前所有者が評価書を紛失している可能性もあるため、購入前の重要事項説明で評価書の有無について必ず確認することが大切です。
ローンや補助金申請時に必要とされた
住宅ローンの借り換えや各種補助金の申請手続きにおいて、建設住宅性能評価書の提出を求められ、そこで初めて評価書がないことに気づくケースもあります。フラット35などの住宅ローンでは、金利優遇の条件として評価書が必要な場合があります。
省エネルギー関連の補助金や税制優遇措置の申請でも、住宅の性能証明として建設住宅性能評価書が求められることが多いでしょう。こうした制度を利用しようとした際に、評価書がないために申請できないことが判明します。
地震保険の割引制度を利用する際にも、耐震性能を証明する書類として建設住宅性能評価書が有効です。保険料の見直しを検討した際に、評価書がないことで割引を受けられないことを知る場合もあります。
評価書がない場合のリスクとデメリット

評価書がない場合、次のようなリスクやデメリットが生じる恐れがあります。
住宅の性能が証明できない
建設住宅性能評価書がなければ、住宅の品質や性能を客観的に証明する手段が限られてしまいます。口頭での説明や施工業者の保証書だけでは、第三者に対する説得力に欠ける場合が多いでしょう。
特に耐震性能や省エネルギー性能については、専門的な評価が必要な項目であるため、評価書なしに性能をアピールすることは困難です。住宅の資産価値を適正に評価してもらう際にも、性能証明書類の不足は不利な要因となります。
万が一住宅に不具合が発生した場合、性能評価書があれば紛争処理制度を利用できますが、評価書がなければこうした制度の利用も難しくなりかねません。
ローン・保険・補助金への影響
住宅ローンの金利優遇制度の多くは、建設住宅性能評価書による性能証明を条件としています。評価書がなければ、本来受けられるはずだった金利優遇を受けられず、総返済額が増加してしまう可能性があります。
地震保険の割引制度でも、耐震等級の証明として建設住宅性能評価書が有効です。評価書がない場合、保険料の割引を受けられずに年間の保険料負担が増加します。また、各種補助金制度でも性能証明として評価書が求められることが多く、補助金を受給する機会を逃してしまうリスクがあるでしょう。
リフォーム時の補助金申請でも、既存住宅の性能を証明する書類として建設住宅性能評価書が必要な場合があり、評価書がないことで補助金の対象外となる可能性があります。
将来的な売却時の不利
住宅を売却する際、建設住宅性能評価書は重要なセールスポイントとなります。評価書があることで住宅の品質が客観的に証明され、購入希望者に対して安心感を与えられるでしょう。
近年は住宅の性能に対する関心が高まっており、同じ条件の物件であれば性能が証明された住宅の方が高く評価される傾向にあります。評価書がない場合、売却価格の査定で不利になったり、売却期間が長期化したりする可能性があります。
特に省エネルギー性能や耐震性能が重視される現在の住宅市場では、これらの性能を証明できない住宅は競争力に欠けてしまうでしょう。
建設住宅性能評価書をあとから取得できる?

建設住宅性能評価書は竣工時の検査を前提に発行されるため、完成後に同じものを新規で取得するのは難しく、写しの交付や代替の調査で補う必要があります。
原則としてあとからの取得は困難
建設評価書の取得には、建設工事の各段階での現場検査が必要です。完成から時間が経過した住宅では、施工状況を確認できないため、原則としてあとからの評価書取得は困難とされていますが、施工記録が詳細に保管されている場合は取得できるケースもあります。
特に基礎工事や構造工事の段階は、完成後には確認することが困難な部分が多く含まれるため、これらの検査を実施できない状況では評価書の交付は期待しにくいでしょう。また、施工記録や材料証明書などの必要書類が保管されていない場合も、評価取得が難しくなる傾向にあります。
建設評価書を取得するためには、設計評価書の取得が前提条件となっているため、設計評価書もない場合は建設評価書の取得はより困難になる可能性が高いでしょう。
中古住宅としての性能評価で代替可能なケース
建設住宅性能評価書の取得が困難な場合でも、既存住宅状況調査や住宅性能証明といった代替手段があります。これらは中古住宅の現在の状態を評価する制度で、建設時の評価とは異なりますが性能証明として活用できる場合があります。
既存住宅売買瑕疵保険の検査では、構造の安全性や雨水の浸入防止などが確認され、一定の品質保証が得られます。また、長期優良住宅の認定を受けている場合は、その認定証明書が性能証明として利用できることもあるでしょう。
省エネルギー性能については、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)による評価を取得することで、エネルギー性能を証明することも可能です。これらの代替手段を組み合わせることで、建設住宅性能評価書に近い効果を得られる場合があります。
評価書がないとわかったときの対処法

評価書がないとわかったときの対処法について、解説します。
まずは設計者・施工業者に確認
最初に行うべきは、住宅の設計者や施工業者への確認です。評価書の申請手続きが進行中である可能性や、評価書が交付されているにも関わらず受け渡しが完了していない恐れがあります。
設計住宅性能評価書は取得されているが建設住宅性能評価書のみ未取得という場合は、施工業者に取得可能性について相談してみましょう。工事完了から間もない場合や、必要な検査記録が保管されている場合は、遡って評価を取得できるかもしれません。
契約書や設計図書を確認し、当初から性能評価を取得する予定だったかどうかも重要な確認事項です。契約内容に性能評価の取得が含まれていた場合は、施工業者に対して契約履行を求めることができるでしょう。
今後の活用・評価を検討する
建設住宅性能評価書の取得が困難であることが判明した場合は、代替手段の検討を進めます。住宅の利用目的や将来の計画に応じて、最適な対処法を選択することが大切です。
住宅ローンの金利優遇や補助金申請が主な目的であれば、それぞれの制度で認められている代替書類の確認を行いましょう。制度によっては、建設住宅性能評価書以外の証明書類でも同等の扱いを受けられる場合があります。
売却を検討している場合は、不動産業者と相談して市場での評価への影響度を確認し、必要に応じて既存住宅状況調査などの実施を検討します。長期的な居住が前提であれば、今後のメンテナンス計画の一環として住宅の状態把握を目的とした調査を実施することも有効でしょう。
まとめ
建設住宅性能評価書がない場合、その理由によっては将来的な不利益につながる可能性があります。まずは関係者へ確認し、状況に応じた対応を取ることが大切です。性能の証明が必要な場合は、他の制度や診断サービスを活用することで、信頼性を補えるかもしれません。
住宅の性能証明は資産価値の維持や各種制度の利用に重要な要素となるため、評価書の有無について早期に確認し、必要に応じて適切な対策を講じることをおすすめします。専門家への相談も含めて、最適な解決策を見つけましょう。




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