zeb readyとは、省エネルギー設備を備えた「環境に優しい建築物」のこと。創エネ設備をもつzebやnearly zebよりも実現しやすいため、近年多くの建築主から注目を集めています。
zeb readyには、ランニングコストの削減や資産価値の向上などのメリットがあります。zeb readyについて正しく理解し、建設の際の参考にしてみてください。
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zeb readyとは?
zeb readyとは、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物のことです。具体的には、断熱性の高い建築材や高効率の空調などを備えて「基準一次エネルギー消費量のマイナス50%までの削減」を実現します。
環境に配慮した住宅の普及に向けて、以下4つに分類されています。
zeb
nearly zeb
zeb ready
zeb Oriented
新築または既存住宅をzeb化するとき、もちろんですが追加費用がかかります。そこで、比較的低コストでzeb化できるzeb readyが注目を集めているのです。
中規模の建築物を新築する場合、zeb readyなら一般住宅と比べてコストを約10%増に抑えられます。zeb readyでも補助金を受けられるケースがあり、さらに費用負担を軽減できます。
国は「環境に配慮した建築物」を促進しているため、今後もzebの資産価値・地域での価値は高まっていくでしょう。
nearly zebとは
nearly zebとは、省エネ性能と創エネ性能を備えた上で以下2つの評価基準を満たした建築物を指します。
基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減(再生可能エネルギーを除く)
基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の削減(再生可能エネルギーを含む)
zeb readyの要件+再生可能エネルギーによる、年間一次エネルギー消費量のプラスマイナスゼロに近付けた「zebに限りなく近い建築物」がnearly zebです。
zeb・nearly zebとの違い
zeb・nearly zebとzeb readyの違いは、簡単に言うと「再生可能エネルギーを使うか使わないか」という点です。わかりやすいように、改めて各区分の評価基準を比較してみましょう。
zebは、年間の一次エネルギー消費量がプラスマイナス0またはマイナスの建築物です。nearly zebも、zebに限りなく近い評価基準を満たした「基準値に対する一次エネルギー
消費量減率(創エネ含む)が非常に高い」建築物を指します。
zebの評価は「BEI」を用いて計算し、評価結果によってzebの判定を行います。
※BEI:基準建築物と比較したときの設計建築物が消費する「一次エネルギー量」の比率のこと。エネルギー消費性能計算プログラムに基づく。
zeb ready認証を取得するメリット
zeb ready認証を取得すると、以下のようなメリットが得られます。
光熱費の削減
資産価値・企業ブランド価値の向上
補助金を受けられるケースがある
環境省の試算では、zeb readyにすることで40〜50%程度の光熱費の削減が可能※とされています。建築物のランニングコストが下がるため、早期の建築費用回収にもつながります。
※延床面積10,000㎡程度の事務所ビルを想定(参考:環境省)
zeb readyを導入することで、zeb化のコスト削減・地域での企業ブランド価値の向上が期待できるのです(地域に配慮した建築物として)。
また、zeb readyでも補助金を受けられるケースがあります。2022年度の補助金制度では、建築物の規模に合わせて補助率3分の1〜2分の1(上限5億円)が支給されました。
コストを抑えつつzeb化する方法〜太陽光?パッシブ技術とアクティブ技術について〜
コストを抑えつつ既存住宅をzeb化する方法は、主に「パッシブ技術」「アクティブ技術」の導入があります。建築物が消費する電力の大半を占めるのは、空調・換気・照明です。これらのエネルギー消費量を削減すれば、zeb化への近道となります。
パッシブ技術で省エネルギーにつなげる
パッシブ技術とは、快適な住宅環境を保つために必要なエネルギーの消費量を減らす技術を指します。具体的なパッシブ技術は以下のとおりです。
壁や床、屋根などの高断熱化
日射を遮蔽する窓
自然換気を促す複数窓の設置
昼光を利用した照明システム
zeb化を目指す上で、パッシブ技術の導入は欠かせません。省エネ性を高められる方法なので、ランニングコストの削減にもつながります。
アクティブ技術でエネルギーを効率的に使う
アクティブ技術とは、エネルギーを効率的に利用するための技術のことです。具体的には、以下のような技術があります。
高効率な空調システムや熱源設備、照明設備
照明制御システム(人感センサーなど)
zeb化の実現には、生活に不可欠なエネルギーの消費量を自動的に抑える設備の導入が必要です。アクティブ技術には、壁や屋根などの大規模な改修が不要というメリットがあります。
zeb設計ガイドラインについて〜事務所・ホテル・学校など〜
「zeb設計ガイドライン」とは、一般社団法人 環境共創イニシアチブが公表している設計実務者向けの指導方針です。これまでに、事務所や福祉ホームなどの建築物に関するzeb設計ガイドラインが公開されています。
※以下参考:zeb設計ガイドライン(https://sii.or.jp/zeb/zeb_guideline.html)
※以下で提示する「一次エネルギー消費量」には「PC・OA機器等は含みません。
事務所
zeb設計ガイドラインでは、一般的な事務所ビルにおける一次エネルギー消費量の起因となるものを以下のように提示しています。
空調に起因するもの:800MJ/㎡年(全体の約60%)
照明に起因するもの:400MJ/㎡年(全体の約30%)
事務所ビルがエネルギー消費量の削減を実現するためには、外皮の高断熱化や日射遮蔽技術の導入が重要です。これらの導入により、建物内の空調負荷を削減するだけでなく、空調一次エネルギー消費量の削減(目安:45〜50%減)が望まれます。
加えて、昼光を取り入れるための設計や照明システムの導入による、照明一次エネルギー消費量の削減(目安:50〜80%減)を図る点も望まれています。
老人ホーム・福祉ホーム
zeb設計ガイドラインでは、一般的な老人ホーム・福祉ホームにおける一次エネルギー消費量の起因となるものを以下のように提示しています。
空調に起因するもの:1,400MJ/㎡年(全体の約40%)
給湯に起因するもの:850MJ/㎡年(全体の約25%)
老人ホームや福祉施設には、給湯に起因する一次エネルギー消費量が多いという特徴があります。空調一次エネルギー消費量の削減(目安:30〜60%減)に加えて、高効率な給湯設備による給湯一次エネルギー消費量の削減(目安:15〜60%減)の実現が望まれます。
スーパーマーケット
一般的なスーパーマーケットやホームセンターにおける一次エネルギー消費量の起因となるものは、以下のように提示されています。
空調に起因するもの:785MJ/㎡年(全体の約60%)
照明に起因するもの:320MJ/㎡年(全体の約20%)
※ZEBの定義に含まれない「その他のエネルギー消費量」の比率が全体の45%
空調における一次エネルギー消費量が多く、高断熱の外皮による空調一次エネルギー消費量の削減(目安:50〜65%減)が望まれます。加えて、昼光を利用できる設計や技術を取り入れることで、照明一次エネルギー消費量の削減(目安:30〜70%減)を実現することも大切です。
病院
zeb設計ガイドラインで想定する病院の一次エネルギー消費量に起因するものは、以下のように提示されています。
空調に起因するもの:1,300MJ/㎡年(全体の約60%)
照明に起因するもの:500MJ/㎡年(全体の約20%)
※給湯が占める割合も大きい
ほかの建築物と同様に、空調一次エネルギー消費量の削減(目安:30〜50%減)や照明一次エネルギー消費量の削減(目安:50〜70%減)を図ることが望まれます。
学校
一般的な学校における一次エネルギー消費量は、空調・照明・換気に起因するものが大半を占めています。そのため、空調一次エネルギー消費量の削減(目安:30〜50%減)や、照明一次エネルギー消費量の削減(目安:50〜70%減)を図ることが望ましいです。
ホテル
一般的なホテルにおける一次エネルギー消費量は、空調・照明・給湯に起因するものが大半を占めています。そのため学校と同様に、空調一次エネルギー消費量の削減(目安:30〜50%減)や照明一次エネルギー消費量の削減(目安:50〜70%減)を図ることが望まれます。
zeb readyの申請サポートならJNSにお任せください!
zeb ready認証を取得すれば、ランニングコストの削減や資産価値の向上が見込めます。一方、zeb readyの申請には「申請書の作成」「添付図書の用意」「評価員からの質疑応答」などが必要です。
そのため、建築主様がすべて対応するのは時間や手間がかかります。JNSではzeb readyの申請に関するサポートをしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。zeb readyの事例や実績も多数ありますので、安心してお任せいただけます。
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